現世は人でも人でなくても大変そうな「出禁のモグラ」1巻感想

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今日もお疲れ様です、エトです。
今回は江口夏実先生作、「出禁のモグラ」ネタバレあり感想になります。
「鬼灯の冷徹」の作者の次回作、で通じる人は通じるかも。

日常で人間と妖怪、幽霊も普通に出てきます。
「ファンタジー」というよりなんか「奇譚」と書きたいマンガ。

始まりは大学生二人が目の前で事故(事故というか詳しくは下)
に遭遇してその人を介抱しようとしたら逃げられたので、追いかけたら変な場所に招かれ。
――たものの、そのときはまだなんともなかったんだけど。

現世なので「ああ…」みたいな事情のある人がいるものの、基本ギャグだらけ。
カラっと進んでるところに急にジメっとしたり。
幽霊が出てきますがだいたい怖くありません。
そもそも主人公たちの初心霊体験の幽霊も平和というか、残念。


出禁のモグラ(1) (モーニングコミックス)
目次

1話目

1ページ目でいきなり主人公(表紙のモグラさん)事故現場。

「広辞苑が降ってくるなんて誰が予想するか」

それはそう
どんな確率というかまず、本が窓の外に放り出される、という状況がわからない。
けどそれをしでかした本人(文芸科専攻児童文学ゼミ在籍の体育会系マッチョ。モブ。濃い)
がしでかしてもおかしくないと思えるのが別の意味ですごい。

そしてもう一方の主人公二人組の真木くんと八重子ちゃん。
この二人がある意味1話目最大の非日常。

「病院はまずい! 金がない! 保険証もないんだ! 呼ぶなら全部面倒みろ!」

ここまで言われたら結構な人数が引き下がるだろうに、

「救急車呼んだから、もう大丈夫ですよ!」

いい人というか「いい子」すぎる
自分がやらかしたわけでもないのに、ここまでできる20代なりたての大学生って何人いるのか。
その後もずっと体の心配してるし。

2話目

1話目最後に「どう聞いても怪しいことこの上ないし不穏
なことを言われた真木くんと八重ちゃんが、それでもモグラを心配して訪ねることに。

と書くとやっぱりこの二人いい子すぎる。
本人たちは「放っておいて何かあってニュースになって、それが訃報とかトラウマになる」
ことを回避したいだけでも、そこまで考えるのが善良の自覚なしなのがまた。

そしてモグラさんと関わったことで初幽霊遭遇。上にも書きましたが大変残念
世の中の幽霊すべてこんななら、ホラーとか絶対一大ジャンルにならんってくらい残念。
けど一般人の幽霊のがどう考えても多いはずだし、こんなものなのかも。

そしてモグラさんの自己紹介、本名「百暗桃弓木(もぐら ももゆき)」
人間ではなく自称仙人、この世の者ではないこと確定。
もうちょっと引っ張るかと思ったらサラっと出てきたのでびっくり。隠す隠さないはどうでもいいらしい。

3話目

モグラさんの事情の説明会。この話の鬼火について。
鬼火=あの世に行くための火、命の火。
個人差はあれどみんな持っていて、これがないとあの世に行けずに迷う。
で、モグラさんは「持てない」と決められてる罪人である

けど特殊なカンテラがあり、普通の幽霊からおこぼれを集めるができる。
(ほんのわずかにもらうだけ、のようで幽霊側にデメリットはないっぽい)
そしてこれは命の火なので、使えば若返ることすら可能。このあたりが仙人。

ただモグラさんはそれ以外は普通の人間で、空腹も病気も老いもある。
そして永遠に生きたいわけじゃなく、幽霊になって現世で迷うこともしたくない。
というわけで火を貯めないといけないけど、これがなかなか貯まらない。

理由が「まず普通に生活するのが大変」だからというのがわかりすぎて、こっちもつらい。
現代社会で普通に健康に生きていくためのお金を稼ぐ+火を集めないといけない。
これが空腹病気老いなしなら良かったけど、モグラさんにはあるのでさらにベリーハード。

貯金したいが貯まらない

火を貯めるなんてピンとこないのに、お金も絡んでくるからわかりやすくて困る。
途中で「消費税」「受信料」の話が入ってくるのがおもしろいけど笑えない。
笑えない。

4話目

もっと笑えない戦場での話の回。
モグラさんがなんで現代必須級の住民票をとってないかの答え。
絵では描写されてないものの、淡々と文字で並べられる戦場の日々がむごい
見える人には幽霊の姿があったってのがもっときつい。

火がすっからかんになったというけど、真木くん八重ちゃんと同意見。
たぶん使ったんだろうなあ、まだなんとかなりそうな人に。
それと八重ちゃんは祖父の知り合い? みたいでモグラさんの助けになろうという話に。

……なったのにその後が残念すぎる
それまでの重さを根こそぎ吹っ飛ばす残念さ。
粘着質なヤンデレ女子に苦労した思い出とか本気で聞きたくない。
真木くんが「泥の煮込みみてえな話」と返したのがわかりすぎる。

5話目

前作の鬼灯の冷徹でも出てましたが、この作者さん、

あいかわらず万引きに対しての憎しみがすごい

とこの話でも思いましたまる(過去に店側の実体験で色々あったっぽい)
今作でも犯人が容赦なくボコボコにされてますが、エトとしては問題なし。
万引きダメ絶対。しかし店の上側の対応も「こんなもんだよな…」と闇。
売上に直結するのに対策は現場丸投げ。あるあるすぎる。

それはそれとして、また会話の中で濃いキャラが登場。
可愛いけど一緒にいると文字通り振り回される予感しかない女の子。
いつか絡んでくるんだろうと思ってたら、まさかの憑かれやすい人。

なんだけど鬼灯の冷徹を知ってるので、そのあとのモグラさんの、
「音楽フェスにも幽霊は集まる」
の話で和み。

地獄の住人目線の音楽フェスの話で出てたなーと懐かしい。

6話目

また新キャラだと思ったら女の子もさっそく登場。
変わってるけど元気いっぱいなのに「憑かれやすい」
というと「そうなの?」だけど「若くて可愛い子は付きまとわれやすい」
と言われるとなんかわかるのがなんかもう(そして女性verも想像がつきやすい)

けどこういう人たちはのほとんどが一喝で立ち去るのもわかりやすい。
問題は人の話を聞かない場合、と出てくる悪霊。
最初はゾッとするものの、ようはストーカーと説明されると心霊的恐怖が台無し。
警察が通じない、は霊関係なく嫌すぎる。

7話目

モグラさんの知り合い、お祓いできる人、猫附梗史郎くん。
そして大きな大きな化け猫(ぶち猫、名前ナベシマ)憑き。
幽霊に強い、常にもふもふ。

ただし体力は持っていかれるし爪は痛いし、舐められると臭い。
体力もだけど猫の口の匂いを知っているので、それだけでちょっと。
猫は可愛いけど大きくなって、その大きさの舌で顔中、ベロン。

きつい。全然うらやましくない。

8話目

大きな猫さま無双。

おしまい

8話目だけやたら短いですが構成的に、

  • 主要人物たち登場
  • 目的提示
  • さてこれから始まるぞ!

の1巻の話が8話目に詰まってる印象。
なので7話目から8話目は結構短く感じました。
それまでが「字の多いマンガ」なのも理由かもですが。

もったいないなーと思うのはわりとよくありますが、

1話の試し読みだとおもしろさが伝わりにくい

実際エトは前に1話試し読みで流しました、これ。
1話じゃなにがなんだかわからないけど怪しい非日常の入り口がある
ことはわかるんですが、じゃあここから次が気になるか、というとそこまでは。

これに関しては一度真木くんたちが日常に帰れちゃうからかなあとも思ったり。
なろうの「異世界で帰れないから」とか冒険ものの「旅立ち」みたいなワクワクはないんですよね。
(そもそも一応幽霊出てくるマンガにワクワク感というのもあれですが)

最初に書いてますが1話目の最後から ジメっ としてるんですよね。
これ見たあとにワンピースの1話みると夏の海と梅雨の和室。
路地裏を覗き込んだら、ちょっとした怪しい落書きがありました。
でも無視して戻ったら全部気のせい、話が終わるくらいの違和感。

営繕かるかや怪異譚 (ジャンプコミックスDIGITAL)

こっちの怪談未満な日常怪異な話が好きな人にもおすすめかも。

(小野不由美先生のおうち修繕怪異譚。除霊とかでなくあくまで家を修理して結果的に幽霊が落ち着く話)

エトは続刊購入を決めたので2巻の感想もそのうち。
ではでは。


出禁のモグラ(2) (モーニングコミックス)

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